活動報告
2022.07.13

第63回全国精神科栄養士研修会報告

2022年6月25日(土)に、第63回全国精神科栄養士研修会が、神奈川県横浜市にあります神奈川県栄養士会会議室から、2年ぶりにハイブリット形式による研修会が行われました。
ご参加戴けました皆様ありがとうございました。

研修会には、北海道から沖縄まで全国の精神科領域に関わる管理栄養士・栄養士の方々、また、福祉施設、行政の方々170名余りの参加があり、精神科疾患とそれを取り巻く栄養管理の理解を深めるべく、ご参集いただきました。
研修会テーマ「栄養障害を考える」として、午前中に2講演、午後にシンポジウムとして行われました。

先ず1席目は、教育講演「栄養不良の二重負荷」神奈川県保健福祉大学学長、日本栄養士会会長である中村丁次先生にご講演を賜りました。私たちが日頃当たり前のように発している「栄養」という言葉。その基本の考え方から、過栄養、低栄養を世界の貧困、戦争、そして日本の高度成長期から飽食の時代へ、そのような時代背景から若年層の低栄養の増加へと、昨今の栄養問題を一つ一つわかりやすくじっくりと考えられるテンポでご講義いただき、また、低栄養と精神障害との関わりがあることを、研究結果を通しご講義くださいました。参加者からは「栄養状態と精神状態の関係から改めて栄養の重要性が理解でました」「多岐にわたる栄養問題をわかりやすくご講演いただき日常業務だけでなく世界的な栄養にも関心を持つ必要性を感じた」「栄養の重要性に気づかされモチベーションが上がります」など多くのご意見をいただきました。

2席目は、特別講演「摂食障害の心理」NPO法人 あかりプロジェクト代表理事 山口いづみ先生にご講演いただきました。山口先生は当事者としての経験からNPO法人を設立され、多くの摂食障害に悩める方のサポートをされている方で、大変貴重なご講演をいただきました。参加者からは「摂食障害で入院されている方との接し方が勉強になった」「自己肯定感の2段階、BEのところを取り戻すお話が心に残った」等々ご意見をいただきました。摂食障害はあらゆる側面がきっかけとなり発症していきますが、それ故に画一的な改善策はとれず、日々私たちも傾聴をベースに対応しても、なかなか明かりが見えないところですので、大変勉強になりました。

午後には、シンポジウム「栄養障害を考える」として弘前愛成会病院 石岡拓得先生に基調講演をいただき精神障害に関係する「肥満、摂食障害、がん、認知症高齢者」4つのテーマをシンポジストの先生方からご講演いただきました。いずれのテーマも事例を通しご発表いただけましたので、具体的なイメージがつかめ、介入から改善または失敗などのお話もいただき、その後の参加者を交えたディスカッションや質疑応答も大変多く広いテーマでしたが、石岡先生はじめシンポジストの先生方のご協力をいただき、2時間30分という長丁場でしたが、あっという間に時間が過ぎていき、多くの反響をいただける研修会となりました。

当協会の研修会は、精神科認定栄養士更新要件の研修会でもあります。こうして研修に参加された方々が日々の業務に役立てられる内容に尽力注いで参りたいと思いますので、今後ともご参加をお待ちしておりますので、どうぞよろしくお願い致します。

尚、アンケート結果はこちらに掲載しております。